低温調理の魅力といえば、思い描いた火入れができることです。
その思い描いた火入れのためには
設定温度別に食材がどのような状態へ変化するのかを知っておくことが大切になります。
ということで。
前回のたまごバージョンに引き続き、第2弾は『鶏肉』を見ていきたいと思います。
前回同様に調理時間を固定し、設定温度を変化させることで
仕上がりの比較をしていきます。
設定は。
今回は調理時間を90分に固定して、5つの温度設定の比較を行います。
では早速見ていきましょう。
まずは55℃・90分加熱から。
写真では少し分かりにくいかもしれませんが、ほとんど生の状態で明らかな加熱不足です。
続いて60℃・90分加熱はどうでしょう。
保水性が高く柔らかな仕上がりですが、90分では加熱殺菌としては不十分な状態となります。
次を見ていきましょう。
しっとり柔らかでありながら十分に加熱されています。
サラダやサンドウィッチ等、そのまま食べるのにおすすめです。
さらに見ていきましょう。
75℃では肉質に噛み応えがでてきます。
大量調理の現場では中心温度75℃以上1分以上の加熱が基準とされることが多いので、
なじみ深い仕上がりと感じる方も多いかもしれません。
85℃は離水が進み、見た目にもパサつきが目立ちます。
最後に。
85℃でさらに時間をかけるとどうなるか。
今回の時間設定から2倍の180分で調理した時の状態を見てみましょう!
長時間煮込んだ時のように、ホロホロと簡単にほぐすことができます。
それでは今回の結果も並べてみましょう。
歩留まり
鶏肉の歩留まりを表にまとめました。
55℃ 90分 | 60℃ 90分 | 65℃ 90分 | 75℃ 90分 | 85℃ 90分 | 85℃ 180分 | |
---|---|---|---|---|---|---|
加熱前重量 | 235g | 198g | 209g | 248g | 250g | 250g |
加熱後重量 | 223g | 181g | 185g | 208g | 181g | 183g |
歩留まり | 95% | 91% | 89% | 82% | 72% | 73% |
※ピンクのハイライト部分は加熱不足の為、食用には不適切です。
安全に食する為に「食材の中心温度63℃•30分以上の加熱」と同等の加熱調理を行ってください。
当サイトでの鶏胸肉のおすすめ加熱温度は63℃~65℃。
初めての方でも作りやすい温度帯です。
低温調理ならではの絶妙な火通りが楽しめますよ。
鶏肉も料理の幅が広く扱いやすい食材です。
作りたい料理や仕上がりのイメージに合わせて温度を調節して、ぜひ理想の火入れを見つけてください。
低温調理を始める前に、特集ページにあります「安全でおいしい低温調理(真空調理)のために」も合わせてご覧いただければと思います。
理想の仕上がりを実現させるため、ご参考にしていただければ幸いです。